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oil on canvas (2019-)


はじめに、「木枠/画布/絵具(イメージ)」という作品の物理的な3層構造にならい、
「『木枠の描写/画布の描写/絵具(イメージ)の描写』という順に描画層を重ねるという方法で一つの絵を作る」
という構想があった。
その後、中層の「画布の描写」を描かずに、
「木枠の描写」の上に「絵具(イメージ)の描写」を描く2層のみの構成に変更。
「木枠の上の空間に直接絵具が置かれている(空間に直接イメージが表れている)という物理的にはありえないイメージ」を想像させうると期待したため。

加えて、展示作品に実際に使用されている木枠をモチーフにすることで、
「本来なら画布の裏にあるはずの木枠が、イメージとして実際の画布の上に表出している」
という構造が生まれる。
その上に「絵具(イメージ)の描写」を重ねれば、先の「木枠の上の空間に直接絵具が置かれている(空間に直接イメージが表れている)という 物理的にはありえないイメージ」は二重に強化されるのではないだろうか。

このような経緯で、《起点の絵》を描いた。モチーフの木枠を見ながら一回り大きな別の木枠に張った キャンバスに絵を描き、その後モチーフの木枠に張り替え、最後に黄色をのせるという手順で制作した。


その他の作品は、「木枠/画布/絵具(イメージ)」という3つの物理的な要素を元に、それぞれ別の視点から展開したもの。 「イメージ」という言葉を媒介にして「物体」と「描かれたものや色や形」の間を往き来する。少しずつ視点を変えることで、シリーズとして展開してゆく。
その他の作品において、各作品がどう「展開」されたかを辿るために、色や形など共通した要素を提供しているという意味で、 便宜上最初の絵を《起点の絵》と呼んでいる。しかし、同時にこの絵自体は、他の3点の作品と同じように、「木枠/画布/絵具(イメージ)」 という3つの要素から展開した一つの例でもある。


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                                   《起点の絵》 キャンバスに油彩/S12(606×606mm)/2019

                                            《a painting of the starting point》 oil on canvas


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                                    《展開図》 キャンバスに油彩/S25(803×803mm)/2019

                                                    《development》 oil on canvas


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                                     《陰/影》 キャンバスに油彩/S25(803×803mm)/2019

                                                      《shadow》 oil on canvas


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                                     《変換》 キャンバスに油彩/F20(727×606mm)/2019

                                                   《transformation》 oil on canvas


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