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窓額 | The Window-Picture Frame (2014)


部屋と部屋を仕切る壁に窓のような四角い穴をあけたら、 隣の部屋の風景が見える。
そこに現れる風景を、窓を想定したその位置に描く。


「窓」を想定しただけで、空間は切り取られ、平面化し、風景になる。
一つの視点に対し 一つの構図が決まり、遠近感が出る。
まさにそれは「絵画」の要素。だから描く。
同時にこの行為は、切り取られた風景というイメージの上に同じ風景のイメージを重ねることだとイメージされうる。
騙し絵が目的でない場合、その場所にある風景を同じ場所に描いて、何になるのだろう。

この絵はこの場所に描かれたことで、揺らぎはじめた。
描き方の根拠となった絵画性と、描き方に意義のなさをもたらすもう一つの絵画性が衝突したのだ。
正対するエネルギーはいつか互いを打ち消し合うだろう。
絵画自身の絵画性によって風穴があき、そのときにこそ「窓」は現れる。


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